以前こちらのブログでも紹介した大阪のテクノアーティストParanoia106さんがアルバムをリリースしました!
前作のアルバムから4年ぶりとなる大作!
一言で言うと「泣けるテクノ」なアルバムです。
PARANOIA106 – APPEAR
リリースを記念してご本人にアルバムの事についお伺いしてきました。
Paranoia106 アルバムリリースインタビュー
こんばんは!
Newアルバムの発売おめでとうございます!
Paranoia106:どうもありがとうございます。
無事リリースすることができたわけですが、A&Rとして完成まで長らくお付き合いいただいたワタナベさん、速攻でリリース準備をしてくれたレーベルオーナーのサイモン氏、アートワークの撮影・ディレクションをしてくれたheaven@airさん、サテライトスタジオとしてお店の一角を使わせていただいたimplant4さんのご協力あってのものです。
ビートポートでの先行販売が行われましたが、最高でチャートの14位まで上り詰めましたね!デトロイトテクノのリリースとしては異例の売れ行きだと思いますが、手ごたえは感じていますか?
P:とにかくサポートいただいた皆様に感謝です!!
ビートポートのランクインも自分にとって非常に励みになります。
今回のアルバムは各曲のクオリティーはもちろん、アルバム全体の流れも最高の出来栄えですが、制作にあたって何かコンセプトや想いの様なものはあったのでしょうか?
P:基本的に私の場合、ノー・コンセプトがコンセプト(笑)ですから、トラック制作中は特に何かをイメージすることは少なかったですね。そして納得のいく曲がいくつか出来上がってから、アルバムを意識して曲順を考えたり、追加曲を作ったりしました。
今回のアルバムでの聴きどころや、こだわった部分を教えてください。
P:そうですねぇ、クラブミュージックとしてリリースするわけですけど、リスニングにも耐えうる作品にしようという想いはありましたね。
また、EPではなくアルバムというリリース形態となるということで、長らく飽きずに聴き続けられるものにしたいと考えました。
なるほど!僕も何度も聴いていますが、本当にこんなにも泣けるテクノのアルバムは初めてで何度聞いても飽きません!
なおかつリズムもしっかりと作りこまれていてフロアで映えるトラック満載ですよね。
シンプルでありながら踊らせるリズムや、派手になりすぎず美しく響く旋律などのバランスが絶妙に聴こえますね!
P:やはりリズムと上モノのバランスは悩みますね。いい感じのシンセパッドが出来ても、バランスを間違えると基本となるリズムが前に出なくなる場合があるので気をつけました。
しかしこの辺りはまだまだ修行中です。通勤時のイヤホンでもクラブの爆音でも気持ちよく聴こえるミックスやマスタリングはなかなか正解にたどり着けません。
前回のアルバムから4年の歳月が経ちました。前回のアルバムから制作環境の変化などはありましたか?
P:コンピューター関係のテクノロジーの進化も行き詰まり感があるんで、以前と環境はあまり変わらないですね。
まぁ4年前と比べると所有するハードが更に増えたかもしれませんが(笑)
今回制作にあたって使用した機材を教えてください。また最も多用したものは何ですか?
P:DAWはCubaseです。リズムはほぼ100%NIのMASCHINEで打ち込んでいます。
ハードウェアシンセでいつも多用するのはACCESS Virus TIです。ソフトシンセはSternberg Retrologueをよく使いましたね。
あと、趣味で集めているハードシンセ(笑)を色々触りながらテンションを上げ、それにインスパイアされてソフトで打ち込むといういつもの手法は欠かせません。
これだけハードシンセが好きなので本当はそれらを録音して仕上げたいのはヤマヤマなんですが、私の場合、どうしても曲の展開に沿って細かくオートメーションを書いて仕上げていくタイプなので、一発勝負でツマミをひねって録音する勇気がありません(苦笑)
Paranoia106さんの曲と言えば今回のアルバムでも随所に聴く事が出来る美しいシンセパッドの音が特徴的ですが、その音作りはどのように行っているのでしょうか?
P:イニシャルパッチから自分で作るのが好きですね。さんざんパラメーターをいじりまくって凝った音色を作り上げ、「おっ、いい感じだ!」と納得して保存するんですが、聴き直すとプリセットA01に完敗というケースも多いですけどね(汗)
ノートデータは単純な白玉コードでも、LFOやパラメーターのオートメーションでフレーズが生まれるのがシンセパッドの醍醐味です。特にこのアルバムのトラックはオートメーションのギザギザをマウスで描いて仕上げたものが多いですね。
最後に、告知しておきたい事や、メッセージなどあればお願いします。
P:とりあえずアルバムが完成してホッと一息という感じですので、今のところ具体的な活動やリリースの告知はありませんがリミックスアル…いや、何もないです。
おっ!何やらプロジェクト進行中の様子!?ありがとうございました。
P:ありがとうございました。
アルバムが絶好調ながら謙虚な一面も見せるParanoia106さんでした。
全曲レビューしてみた!
というわけで早速アルバムを全曲レビューします!
PARANOIA106 – APPEAR
#1 First Contact
ソフトにゆっくり立ち上がる和音がこれから始まる旅に向けた僕の背中をそっと押してくれます。そして、、タムとキックがキター!!フロアをしっかり揺らすクラブ仕様のリズム隊!タムのデトロイト感が気持ちイイ!そして何より美しい旋律のシンセのパートに心を奪われる。
うん、美しすぎてもう天国が見えそう。。しかしまだ旅は始まったばかりだ、ここで昇天してはいけない!後半のキックの鳴りも気持ちイイったらありゃしない。
#2 Randomize (Original Mix)
先ほどより少し攻めたキャラクターのキックからスタート♪テクノの機能美を知り尽くしたような最小限でありながらグルーヴを刻むハットやパーカッション!
なによりいつの間にか暖かい毛布に包まれているような幸せを感じる優しいpadシンセの層がジワジワと増えてきて焦らす!焦らすのが本当に上手い!スッと音を入れるんじゃないの。ゆーっくりきて一瞬のタメが入ってからのキック!とかもうずるいね。引っ張りジワジワ系だからDJにも重宝されそうなトラックだし、これが2曲めにしてもう完全に引き込まれてる感が半端ねぇー!
#3 Expressway
和音が聴こえた瞬間にこの曲は素晴らしい!ってわかる程のクオリティ!奥行きのある音場に切なさが入り混じる。切なくて優しくて中盤から徐々に力強くなるなんて、何かもう恋愛映画を見てるみたいなキュンとくる音の粒!叙情的でなおかつ、ゆっくりとジワジワと音の変化がくるので曲の中で数年の長い時間を駆け抜けて行くような感覚に陥ってしまう。
音の抑揚が物凄く良い!なんて綺麗なの!音の減らし方まで切ない。涙が溢れ落ちる。
#4 Astrology
このやや締まったキック大好き!ハットやクラップの使い方が上手いからリズム隊の音数少ないのに完全にテクノ!
ベースが入って厚みのあるシンセの和音が美しくどんどん盛り上がって来るー!!本当に綺麗だわこの曲!美しいプログレッシブハウスが好きな方とかにも是非聴いて貰いたい一曲!
この曲は先月オーストラリアでDJした時にプレイしましたが物凄く反応も良くて皆気持ちよく踊っていました。地元のDJに「この曲誰のなんて曲?」聞かれたので教えておきましたぜ!(美女だったので)。
#5 Misty
冒頭の2秒でデトロイト感が溢れてくる!デトロイトテクノを愛した男が大阪で作り上げたアルバムは誰よりもデトロイトなテイストを備えている!テクノは時代と共に形やスタイルを変えながら進化し続けていますが、時代を超えて愛される名盤も数多くあります。このアルバムもその仲間入りをするに違いない名曲揃い。懐古主義的な発想ではなくシンプルに機能美と美しさを追求したら再びデトロイトに戻ってきたような、まるでメビウスの輪にいるようなこの曲の達成感。現代、そして未来のフロアを沸かすにも十分な現場仕様のリズム隊!
この曲は女性の声をフィーチャーした美しく心を揺さぶってきます。
#6 Alpha Particle
後半に差し掛かってBPMも早くなりまるで星空を疾走しているかの様。このpadの美しくて宇宙感のある音はもはやParanoia106 節と呼んで良いに違いありません。シンセの微妙な変化を繰り返すシーケンスが身体の中の細胞を少しずつ、少しずつ宇宙へと送り出しているような恍惚感と疾走感。リバーブの使い方が上手くて音楽に厚みと物語を生み出してるのは流石としか言いようがない。気持ちイイ!!!ライブでも是非聴きたい!
#7 Drops Of Dew
うおぉ!この流れはすばらしい!!ここまでの流れも当然良く出来ているが、この6 曲目と7曲目の組み合わせは最高としか言いようがない。先ほどは疾走して気持ちの良いドライブ感のある曲であったがこの曲ではピアノの音がとにかく切ない!切なすぎる!控えめでありながら切なくてまるで口数の少ない美女の様なピアノがポロンポロンと紡ぎ出す音に耳を傾ける、いや、傾かざるを得ない!そして、その少女に一体何があったのだろう?堰を切ったように流れ出すピアノの旋律が胸熱。勝手に擬人化しちゃったけど、、もう美しくて吸い込まれちゃうよコリャ!
#8 Beyond The Sky
お!これはまたキャラクターの違うキック。無機質なキックと美しい和音のコントラストがまるで漆黒の黒い海と夕日に染まる空との境目のようだ。タイトで締まったリズムがディレイのかかったシンセをより引き立てている。繰り返す音の波がジワジワとゆっくり魂を突き動かしてくる!DJでプレイしたらフロアのキープ感が半端ないこと間違いなし。ゆっくり焦らして自分の内向きのグルーヴが外向きに変わる瞬間まで容赦なく快感に溺れる事ができる。溜めができる曲って重要!
#9 Eternity
あ〜ぁ!もういつのまにか最後の曲になってしまった!
美しくキラキラした音に包まれて緩やかなノンビートの曲でチルアウトにピッタリ!
最後を締めくくるのにふさわしい 哀愁たっぷりのアルバムのクロージングにふさわしい曲です!DJイベントのクローズの時にプレイするのにもピッタリ!
楽しかった旅もここで終わりかと思うと物哀しい気持になりますが、それ以上の充実感に満ちあふれたこのアルバムは絶品やー!
iTunesでもリリースされました!
ビートポートはコチラ!
是非ともこのアルバムは全曲通して聴いて頂きたい!
最高にオススメのアルバムです☆