DJWarpの音楽の旅

テクノ中心にDJ,DTM,プラグインなど音楽のアウトプット

太いキックの作り方

あけましテクノ!

今日はテクノの太いキック(バスドラムの音)を作る現場を見てきたレポートをお届けします。

 

昨年、オーストラリアでDJをした後にElektrax Recordings というテクノのレーベルをいくつも抱えているレーベルオーナーで、自身もDJ Hi-ShockやAdvanced Human 名義で活躍するレーベルオーナー、サイモン氏のシドニーのスタジオにお邪魔して一緒にテクノを作ってきました。

ついでに彼のAbleton のプロジェクトファイルを幾つか覗かせて貰って、どのように製作しているのかをチェックしてきました。

 

彼の”Advanced Human”名義のトラックは実に太いキックを使ってダークなテクノでカッコいい!ビートポートのテクノチャートを賑わしたり、彼のアナログ盤はいつもテクニークでも売り切れる程の人気ぶりです。Luke Slaterも彼の曲をプレイしています。コチラで試聴できます。

www.beatport.com

彼が行なっている太いキックの作り方を見てきましたので、遅くなりましたが簡単に紹介をしてみます。

 

1.キックを重ねる

彼は曲によってキックを2〜4つも重ねて鳴らしていました。そう多いときは4つも!

キックを重ねる手法は良くある手法ですが、これまで私が知っていたのはキックのアタックの部分を鳴らす為のキックと胴鳴りの低音部を鳴らす合計2つのキックを重ねて一つの音を作り出す…という手法でしたが、4つも重ねてあるとはビックリ!

アタック部分を聴かせたいキック以外のキックはそれぞれアタック部分のケアが必要です。アタックがズレて聞こえないようにアタックを遅くして「ドン」ってキックの音が「ゥウン」と鳴るように設定します。

「ドッ」とアタックがしっかり聴こえるキックと「ゥウン」と低音がうなるキック達が重なってとてもブッとい「ドゥウン!!」となるキックの出来上がり!

 

2.調整する

あとは音を聴きながらEQで調整を行います。

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コチラの写真はFabfilterでローとハイをカットしていますが、ほとんどはAbletonエフェクターでまかなっていました。

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話を聞くと50Hz辺りをグイと持ち上げ、20Hz以下のローをカットして、後はAbleton 内蔵のコンプレッサーやサチュレーターで音を整えて終了!

WavesのコンプやFabfilterを使用する事もあるそうですが、基本Ableton内蔵のエフェクトで十分だよとの事!

 

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以上。終わり!

ワイルドや!スゲー!

キックは二つ以上重ねると調整が難しくなりますが、そんなの御構い無し!って感じでガンガン重ねてぶっといキックを作っていたのが印象的でした。

そんなに重ねて大丈夫?って聞いたら「だってカッコ良い音になるだろ?」ってカッコいい太いキックを聴かされるとぐうの音もでません。

 そうだった!そもそもテクノを作るのにセオリーだの作り方だの気にしてやる必要は無かったんだ!

とはいえ、ちゃんと一つのキックとして聴こえなければ意味がありません。一番の問題は先ほども書いたようにキックのアタックの部分です。二つ以上のキックを重ねた時にアタックが少しでもズレて聴こえると下手なDJのミックスのようにドドッンという音になってしまいキックがぼやけてしまいます。

その為、選択肢は2つ。ひとつは、重ねるキックのアタックを全く同じタイミングに揃えるか、ふたつ目は、アタックを聴かせるキックを一つだけ鳴らして残りのキックのアタック部分を抑えるかです。いずれにせよ、音がぶつかり合うのでなかなか簡単にはいかないのですが、彼はキックの音を聴きながらどちらがカッコよく聴こるか耳を頼りに選択してEQで調整後コンプで一体感を出してました。

EQは幾つも重ねて通してるのも肝のようです。

シンプルに考えよう

キックを沢山重ねる方法は僕の中では「え!?だってそんなに重ねたらまとまった音に聞こえないんじゃ?」とか「綺麗なキックではなくブーミーなキックになっちゃうんじゃ?」って思ってましたが、結局カッコいいテクノ作ればプロセスは何でもありなんです。だってテクノだもの。あとは現場で使えるかどうかはDJや踊る人がジャッジしていくだけだもの。テクノだもの。人間だもの。

「作り方」と言っておきながら、ただ重ねるだけでした・・ってシンプルな方法ですがテクノを作る人は色々な組み合わせを試してみてはいかがでしょうか?

低音がしっかり聴こえるモニタースピーカーやヘッドホンで作業をしないと現場でスカスカなキックになってしまうのでモニター環境はしっかりと揃えましょう!40Hzから50Hzの周辺の厚みでキックのキャラクターも大きく変わるので、しっかり聴こえる環境でモニターして作らないと低音が少なすぎたり、大きすぎたりしてクラブでデカイ音で鳴らした時に差がでちゃいます。サイモン氏はKRKの口径の大きなモニタースピーカーでメッチャでかい音でモニターしてました。

人の制作過程を見る事で発見がある!あー楽しい!

重ねたキックが活きるテクノ(ハードなテクノ)や、シンプルに単音キックの素材の音重視のテクノ(ミニマルやアシッド)などあると思いますが、あまり難しい事考えずにシンプルに出音がカッコいいかどうかを考えて前に進む事が大切なんだなぁと思いました。

 

作ってみた

で、早速キックを沢山重ねてキックを作ってできたテクノがコチラ。

soundcloud.com

 教えてもらって帰ってすぐにサクっと作ってみました。

キックを3つ重ねています。インダストリアルな堅い感じのキックになりました。

 

2017年ものんびり月1のペースで更新していきます。

ことしもよろしくお願いしMASSIVE!