たしか、テクノを作り始めて間もなかった2008年か2009年頃(?)の話。
当時、Agehaでお会いした事をきっかけにあるベテランのDJ/Producerさんに僕の作った曲を聴いてもらえる事になりました。
メールで曲を送ると、色々なアドバイスをもらう事が出来ました。
ストレートな意見で、受け入れるのに泣きそうになる事も沢山ありましたが、駆け出しの僕が現場の一線で活躍する方の意見を聴けるチャンスは他にありません、素直にアドバイスを受け入れ、新しい事にチャレンジする事で、それまでより表現の幅が広がり、成長する事が出来ました。
「展開が少なすぎる」とか「リズム隊が・・」とか色々な具体的なアドバイスを頂いたほか、最も自分のスキルを磨く上で役に立ったアドバイスは・・
「好きな曲を完コピせよ」
というアドバイスでした。
ギター等楽器の練習では良く聞く話ですが、DTMで完コピ??
と、半信半疑でしたが藁にもすがる思いで、好きなハウスの名曲「Kerri Chandler – Bar A Thym」をコピーしてみる事にしました。
ところが・・
むむ・・難しい!!リズムなんて聴こえてる楽器をポチポチ並べて行くだけでできる、と甘くみてましたが全然できません。
当時は三連符やスイングなんて事も分かっておらず、ハットやパーカッションをオリジナル曲と同じ跳ねたタイミングで音が鳴らせませんでした。
しかも和音が分からない・・
なんとか耳コピでそれらしい音を打ち込むもシンセのフィルターのオートメーション書く方法も知らなかったのでネットで学習!マネしてるうちにフィルターの気持ちのいい開閉を知りました。
コンプも使った事なくて、音のバランスもハチャメチャでしたが、オリジナル曲の真似をして触ってるうちにリズム隊の音の重要性を理解する事ができました。
テクノ等を作っていると、上モノに気を使いがちでどんどん音を足したくなりますが、ダンスミュージックにおいて重要なのはリズム!
オリジナル曲はリズムに細かい変化を与えてグルーヴを積み重ねている事に気がつきました。
実は結局完成まで持ち込めず挫折してしまいましたが(未完成かーい!)、コピーをする事で学んだことは非常に多く、その後のテクノ制作においてのスキルのベースとなりました!
一応参考までに完コピ目指したオリジナルの曲をペタリ!(僕のカバーじゃないよ。)
粘っこいグルーヴのハウスの名曲です!
この曲をコピーしようとして、色々な事を学びました。
今でもそのアドバイスを下さった方にはとてもとても感謝しています。
送ってはダメ出しされ、送ってはアドバイスされの繰り返しにより制作のスキルとメンタルが強くなりました。
当時は耳の痛い事も言われる事が少なからずあったので、メゲそうになりましたが、その意見があったからこそ、テクノとしっかり向かい現場で使えるテクノを意識して作るようになりました。
僕もA&Rとして人のトラックにアドバイスをする事がありますが、僕自身の経験を踏まえ、アドバイスをするうえで必ず守る流儀があります。
「愛を持ってアドバイスする」
アドバイスをする上で一番大切なのは「愛」です。
何度も聴きこんで、そのアーティストさんの良さを最大限に引き出すように正面から向かい合うことにしています。
愛を持ちアーティストを尊敬し、
「ウソはつかない」
「ネガティブな個所も必ず伝える」
事にしています。
音楽に正解はありません。
感じ方も十人十色なのですが、自分のこれまで聴いたり、DJしたり、作ったりしてきた経験のよる直感を信じて、アーティストの将来を考えズバリ感じた事を言う事にしています。愛があるからこそネガティブな意見もしっかりと伝えます。
これまでもA&Rとして沢山の曲を選別してきましたが、やはり意見を吸収して成長できるアーティストさんはトラックのクオリティーがみるみる上がっていきます。
特に外国人はネガティブなフィードバックにも「ありがとう!」と前向きで、「これでどうだ?」と遠慮なくガンガントラックを送ってきます。
柔軟にアドバイスを受け入れるという事は、アドバイスをした人の経験を踏み台にできる訳ですからコレは近道に違いありません。ポジティブに捉えて成長への近道として糧にしていきましょう!
僕自身も愛のあるアドバイスのおかげで、何年も制作を続けてこれました。
ただし、アドバイスと批評は違います。自分のステップアップの為に道筋を照らしてくれるのがアドバイスです。自分本位な批評や畑違いの人の批評は参考にしつつも流されないようにする軸を持つ事も大切です。
僕はプロモへのフィードバックには良い事しか書きませんが、送られて来るデモトラックにはできるだけアドバイスをすることにしています。
「愛」って書くとなんだか嘘っぽく、フワフワしたものに聞えるな。
「リスペクト」が近いかな。。
テクノを作り始めの方は、僕もやった「完コピ」を一度経験することをオススメします。今はYouTubeでいくらでもチュートリアルが見れる時代ですが、見るのとやるのでは全然違います。
経験はアーティストの財産です。
やりましょう!
曲ができたらDJさんに聴いてもらいましょう。DJに。
DJさんは曲を選ぶときに数秒聴くだけで曲の良し悪しを判断します。
DJさんのインスピレーションに引っ掛からない曲はフロアでかかる事はありません。
特にDJさんはリズムへの嗅覚が優れている事が多く、ダンスミュージックの肝であるリズム隊に対する意見は参考になる事が多いです。
もちろん制作もしているDJさんがいればより具体的なアドバイスをもらう事が出来るでしょう。
今回は「アドバイス」について書きました。
近いうちに、僕がアドバイスする余地が無いほど素晴らしい!と思っている日本人テクノアーティストさんを紹介する予定!
日本には沢山のテクノアーティストがいますが、各地で埋もれている人も少なくありません。世界に通用する日本のテクノアーティストを月一くらいで掘り出していきたいと思います☆
おやすミニマル♪