テクノを通じて海外の人とやりとりしてると「コイツ押しが強いな」って感じる事が多くあります。
これまでの経験において日本人と外国人のテクノアーティストの間に特に違いを感じるのは「押し」の強さです。1億2千万人の国民性を一言で語る事など出来ないのは承知の上ですが、多くの日本人に比べて外国人の方が押しが強いのは確かです。
僕は海外や日本のテクノアーティストからデモを受け取って、良い曲はリリースに向けてアレコレとアドバイスをしたり、リミキサーの手配をしたり、マスタリングをしたりと動き回ることがあります。(ほとんどおせっかいですけど。。)
僕自身も海外のレーベルにデモを送ったり、MIXの提供をしたりと世界中の様々な人たちとコミュニケーションを取ってきた中で強く感じるのが外国人の「押しの強さ」です。
①自信を持って自分を売る
海外のアーティストはグイグイ自分をプッシュして来ます。
「ホラできたそ!ホレ!新しい曲だ、リリースしたいだろ?」ってな具合に自信満々に自分の曲を披露します。
「自信は無いのですが・・もし気にいって頂ければ、こちらのレーベルからリリースさせて頂けると嬉しいのですが・・」なんて感じで送ってくるアーティストはいません。我々も彼らのように自信を持って堂々と自分の曲をプッシュしていきましょう!
正直、自信がなさそうに自社の製品を売る営業マンは失格ですよね。
自信を持って自分の良いところを売り込みましょう。
②意外と謙虚。提案も忘れない。
しかし、自信を持って曲を送ってきても曲のクオリティが満たない場合は僕はしっかりとネガティブな意見を伝えます。
さぞ自信がある様であったから傷つきはしないだろうか・・なんて思ってた事もありましたが、ほとんどのアーティストは驚くほど前向きで謙虚です。「OK!フィードバックありがとう!またレーベルの音に近いテクノが出来たら送るぜ!」と何度でもチャレンジしてきます。
しかも、「この曲とあの曲に☆☆(超大物アーティスト)のリミックス足して3曲入りでEPにしたらカッコいいEPになるんだけど!」のようにグイグイ提案をしてくるので、気をつけなければついつい相手のペースに飲みこまれてしまいます。
③自分で自分のチャンスを広げる
海外から日本でDJをしたいから呼んでくれというメッセージも良く受けます。
「僕は東京に住んでないんだ」と返信すると殆どが音沙汰なくなりますが(笑)
いずれにせよ、海外から「日本が好きで好きでたまらないんだ、日本でプレイするのが夢なんだ!」とDJMIXのリンク付きで猛アピールをされても悪い気はしません。もしタイミングや条件が合えば誰かに紹介してあげたいと思う事もあります。
チャンスを広げたければ自分から動け!って事ですね!だって猛アピールが失敗したって仕事を失う訳でもなし、たいしたデメリットもないんですから。
日本のテクノアーティストもガンガン強い押しで海外に飛び込んでいきましょう!それに別に海外に!って訳でなくても国内にも素敵なテクノレーベルが沢山あります。やり方一つで負けてしまいたくなんかは無い。作ったら遠慮なくデモを送り続けよう!
参考までに以前の記事を。
④セルフプロモーションが上手
もうひとつ一番の違いを感じる事は、海外のアーティストの”レーベルからのリリースはあくまで「手段」にすぎない”という感覚かもしれません。自分のリリースは自分でリリースしたいレーベルを決めるし、プロモーションもレーベル頼みではなく自分でもしっかり行うというスタンスのアーティストが多いように感じます。
特にプロモーションに関しては、日本、海外問わず、しっかり自分で自分をプロモーションをしているアーティストは着実にステップアップをしている様に思います。
テクノはBeatportで毎日数百曲がリリースされています。そんな中で自分の曲が何もせずに目立つ訳もありません。しっかりと「予告」「告知」「ストーリー」などを織り交ぜてプロモーションを行っているアーティストの方が多くの人の耳に届く可能性があることは言わずもがなですね。
実際に積極的にSNSでの告知をしているアーティストのリリースは成功を収めた事がありました。
⑤フランクにお願をする
「え?君は。。誰だっけ?」みたいな人から、かしこまった挨拶や定型文など無しにいきなり「ハロー!リミックスやってみない?」みたいなメッセージを受ける事があります。
知り合いとも呼べないような繋がりなのにイキナリこちらの懐に飛び込んでくる潔さ!友達の友達はみなトモダチ!と言わんばかり!
こんなに気軽にお願いをされると僕は・・100%受けます(笑)
テクノを愛する者としてあくまでもフラットな関係で気軽にお願いできる世界って、ああ素晴らしい!と思います。
まぁ、だいたいそんな奴はいつリリースするかも知らせないままいつの間にかリリースされてた・・ってな事になってる事が多いんですけどね。憎めません。
このように外国人の押しの強さは、僕らも見習うべきものがあります。
僕はテクノを作り始めた時は公開などに消極的でしたが、別に仕事でもないし失敗してもいっかーと開き直って外国人の押しを真似てグイグイ「押し」を意識してやってたら世界が一気に広がりました。
いくつかのタイプの「押し」がありますが、ただ単純に外国人のマネをすればいいって訳ではありません。日本人の繊細さと、この押しの強さの両方を使い分ければチャンスは必ず広がります!
さぁ攻めよう日本のテクノ。